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13.線香の火は実に力強いものなのです
線香の火でも油断すれば火事の元になります
…点というお話ではありません。
汝らもし、勤(つと)め励(はげ)むならば、事として難(がた)きものなし
わずかな水も常に流ればよく石を穿(うが)つがごとし
簡単に言えば
なせばなる なさねばならぬ なにごとも ならぬは人の なさぬなりけり
となります。
石、岩の表面を流れる水、あるいは一滴ずつ岩肌に落ちる水もわずかではありますが
確実に硬いはずの石を削っています。
時間がたてばその結果は明らかにあらわれてきます。
人間は何かをやろうと、思い立つのも早いのですが挫折するのもまた早いもの。コツコツが出来ない。皆さん、ウンウンとうなずいておられませんか。
それは、根気があるなしというよりも
「これはとても無理だな、私には不可能間違いなし」と決めつけてしまっているところにその原因があります。
でもどうでしょうか。
世の中に存在する物や道具、学問、理論などのほとんどはこの私には作り出せない、考え出せないものです。しかしそれらは私と同じ人間が生み出したものでもあります。能力の差はあるにしてもいまの私に考えだせること、作りだせること、うまく扱えるものは必ずあるはずです。
自分のような人間にはそんなこと出来るはずがない、などと思うのは実にもったいないこと。そして何よりも自分を信じて前進する努力をなしていないということです。
例えば信仰心は単に超自然的な力に頼るというものではありません。神仏の持つ目に見えない力を支えにしようとするその心が、本来自分の持つやる気と知恵を引きだす原動力となっていくのです。
線香の火は一度つけると急ぐことなく遅れることなく静かに、そして確実に燃えてゆきます。